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森でのこと

2018年09月11日
 いやはや、今年の夏も暑かった。それも今まで経験をしたことがないほどに暑かった。でもまぁ、なんとかしのぎつつあるのでまぁ良しということにしておこう。今から来年がコワイ。

 さてさて、ボクはここ3年間は8月は中山駅から少し離れた里山で制作をしている。森での制作はとてもエキサイティングで楽しい。どんな風にエキサイティングかっていうと、それは少年時代の遊びのようなエキサイティングさだ。
 ボクは小さい頃、よく家族と両親と仲の良いもう一つの家族とで、天城山の頂上付近にある別荘で過ごした。別荘と言っても、個人の持ち物とかではなく、もう一つの家族のご主人の勤めていた会社の所有物かなんかで、それを頻繁に利用していたと記憶している。ボクと弟、もう一つの家族の方にも男兄弟2人がいて、あわせて4人でよく別荘の周りにある原っぱで遊んでいた。そのへんに落ちている棒っきれ、自分の身長をゆうにこえるススキの群生。鹿の足跡やらくっつき虫や、昆虫。当時のボクらには、こんな風なものがあればそれなり楽しく過ごせた。そして、よくつくっていたのが秘密の基地だ。ススキの群生の中の一部分にミステリーサークルのようなものをつくる。外からは見えない→出来上がりという工程でひどく簡素ではあったけど、それをつくったときの満足感は今でも覚えている。あんな風に満たされた気持ちになることって、これからはなかなかないなって思うほどに。

 ちょっと余談が長くなったけれど、ボクにとって中山の森での制作の感覚は、その時のことと、とても良く似ている。今年は台風が多くて、森で過ごした時間も少なめだったけど、やっぱり楽しかった。…暑かったけど。
 森での1日をざっと書いておこう。朝起きて、電車に乗って中山駅に行く。そこからタクシーに乗って、森の近くのコンビニまで行く。ここで、水やお茶、お昼ごはんを買う。コンビニから歩いて5分、森にたどり着く。蚊取り線香を焚く。それから、森に落ちている枝を拾ってきたり、手ごろな木を切ってきたりして、材料を集める。集まった枝や木は葉っぱを全部むしる。これを番線で適当な長さでまとめておく。ここまでやるのに大体3時間。お昼ごはんを食べて、また作業。まとめておいた枝を自分の作品の展示エリアである場所に持っていき、木の幹を軸にして枝をつなげていく。すべて枝をつなぐと、1日の成果物として、一本の頼りない枝の集合体がうまれる。これを大体8日間繰り返した。枝をつなぐという行為と、単純につなげれられた枝の質量。そしてそれに伴う時間。それをシンプルに表現したつもりだ。もちろん、8月いっぱいずっと森に時間がさけるほど、ボクも暇ではないけど、それでも時間を無理やりつくっては森に行って作業した。その理由はとてもシンプルだ。それは楽しいから。アーティストとしての使命感なんて、この際、森ではどうでもいい!なんて言ったら怒られるかな。実際、何回か怒られた(笑)。

 さて、このボクのつくった作品も含め、中山の森では展覧会が開かれたています。今年は表記を英語にして「ラボラトリーオブフォレストアート」とした。ボクもあわせて9人のアーティストがそれぞれのアプローチで作品をつくっています。派手な作品はあまりないけど、今年はいい作品が揃っていると自負しています。すごくわかりづらいしアクセスが悪いけれど、国内でもこんな展覧会はないと思っています。賛否はあると思うけど、行ってみてすぐ忘れるなんていう風な消化のされ方はあまりない催しではあると思います。もし、よかったら是非見に来てくださいませー。




 Laboratory of forest art


会期 2018年9月2日(日)~9月30(日)
時間 10:00~日暮れまで

会場 横浜動物の森公園予定地 (詳しくはホームページで)
ホームページ http://labforestart.wixsite.com/mysite




堀江和真